先週土曜日、3〜4年前から愛用している、久留米絣(くるめがすり)の「もんぺ博覧会」があるとのことで、初めて本格的に八女(やめ)の町を訪れました。
会場は「八女伝統工芸館」の二階。
一階でも様々な工芸品の展示があっていて、私達はそこで八女の工芸技術や特産品、「八女茶の玉露」の試飲、そして最初の写真の『八女福島の燈籠人形』に心奪われたのでした。
『八女福島の燈籠人形』は国指定重要無形民俗文化財に指定されている奉納行事です。
江戸時代から続いている福島町の伝統的な行事ですが、最盛期には10台あった屋台(舞台)が、現在は2台。
芸題(演目)もずいぶん減り、現在は保存会で奉納上演を続けているそうです。
実際に公演されるのは、八女市宮野町八幡宮にて秋分の日を含めた3日間。
今年は絶対に行きたいと思います!!
な〜にがスゴいって!
・毎年屋台(2階建て!)が組み立てられ、終わったら解体されている。
・その屋台には一本の釘もカスガイも使われていない。
・屋台の大きさは、冒頭の写真で2階に大人が8人ほど乗っていることで想像ください。
・実際の見せ場(舞台中央)には人間は登場しません。つまり・・・
・優雅な動きを繰り広げる主役の人形達は、舞台の横や下から巧みに動かされている。
・そこには驚くほどの優れた技術が随所に施され、どれが狂っても舞台は成り立たない。
・人形は細木と糸と、バネとして使われている鯨の髭でできた精巧な「からくり人形」!
・上演中に披露される衣装の早替りは、特殊な縫い方をした着物の糸を一気に抜くらしい。
「八女伝統工芸館」に隣接した「八女民俗資料館」では、使われていない屋台が展示されていて、八女伝統LOVEな美人学芸員さんが熱い語りで仕組みを解説してくださいます。
写真は、舞台の横から人形を動かす(横遣い)装置を覗いたところ。
全て素材は木材。
「木材は痩せたり乾燥で割れたりして大変でしょう?それをこんなに正確に仕上げてあって現役だなんて!スゴイ!」
驚く私に、「そうです。だから木材も様々な種類が厳選されて組み合わされているのだとか・・・。」と、学芸員さん。
なんと!人形は左右の楽屋(舞台横)に、それぞれ6名ずつの12名によって動かされているのだそうです。
右手、左手、首、体などをそれぞれが担当していて、人形の体を通って下の棒につながる糸が、横から引かれることで動き、鯨の髭のバネで戻る仕組み。
もちろん回転もできれば、舞台の真ん中に設えられた橋を渡る演出の中で、片方の楽屋側のエリアからもう片方の楽屋側のエリアまで、人形を引き渡すこともでき、これは人形遣いの方々のあうんの呼吸によってなし得る技なのだとか。
そしてそしてなんと!人形の動きには奥行きがあるのです!
(ちょっと造花がチャチく感じますが・・・)
その動きを担うのが「下遣い」。
下にも6人の人が、それぞれ手、首、体を担当しているのです。
学芸員さんが動かして見せてくださいます。
実際の奉納の際には、上の写真のように人間は見えないようになっているそうですが、最終日だけ冒頭の写真のように、全てを解放して、「横遣い」の方々、「縦遣い」の方々、2階で演奏されている方々の様子が見られるそうです。
だから私は最終日に行ってみたい!
「な〜んでこんなにスゴいものが長崎の「おくんち」ほどにも有名じゃないんですか?技術的な面では断然こちらのほうがスゴイじゃないですか!!!」と、私。
深くうなづくパートナー。
「そ、そうですよね〜!!そうなんですよ〜!」と、ちょっとテンション上がる学芸員さん。
うん!これは素晴らしい日本の宝ですよ!
「ものづくり日本」の原点ですよ!
ちなみに、「横遣い」の操作技法を開発したとされる人物は、晩年に「東芝」の元となった田中製造所を創立した『からくり儀右衛門』こと田中久重さん(あくまでも一説という位置づけらしいのですが)。
以前ご紹介しましたが、私が愛用している久留米絣のカーゴパンツを購入した『儀右衛門』さんもこの『からくり儀右衛門』さんのことだとか。
絣を織る機織りの開発にも技術を提供した方のようです。
天才ですね・・・。
・・・ということで、とても1回では語り尽くせない、魅力溢れる『八女』なのでした。
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